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悩む力
百年前の漱石も
ここのブログに置いている「音のない世界で」というカテゴリ(ページ)は、きこえないがゆえの苦悩を書くことも多く、あまり面白く読まれている方ではないかもしれない。
障害という0.何パーセントというマイノリティの世界について語るよりも、3万人の枠に15万人が殺到するマラソンといった国民レベルで普遍的な話題に集中した方がもっと読まれることも分かっている。
暗くなるような話題を書くよりも努めて明るい話題を見つけた方がいい、「今日は○km走って△分。体調も良かった」の方がずっといい、というのも当然の方法だ。
それを重々、承知している一方で、僕はどうしても目の前に壁が立ちふさがり、岩が行く手を拒めば、叩いてどうなるものでないと分かっている徒労でも正面から叩き続けてしまうところがある。
趣味のブログであっても、代わりのきくオプション(の走ること他)についてと同時に、自分の抱えている、逃れられないベースとなる部分に目をそむけないで向き合いたいと思う。
悩みは古今東西、普遍的なもので、それに対して全ては気持ちの持ち次第で世界は変わるとか、何でもポジティブ教とかいう薄っぺらい指南書も、それはそれで一理あろうけれど、本書で度々、引用される漱石を僕も好むように、女々しいようでも自らの苦悩や弱さを見据えたい。
タイトルに惹かれたら意外に同種の人間も多いようで、地元老舗書店の本店には無く大型店でも問い合わせが多いとか。読み進めてまた記してみたい。
強制収容所に入れられた体験を持つことでも知られる精神医学者V・E・フランクルは、「Homo patiens(苦悩する人間)の、価値の序列は、Homo faber(道具人)のそれより高い」「苦悩する人間は、役に立つ人間よりも高いところにいる」と述べています。極限状態を生き抜いたかれのこの言葉を聞くたびに、私は母のことを思い起こすのです。悩みの海を抱えていたからこそ、生きる意味への意志がより萎えることがなかったのだと思います。この意味で私の母は幸せだったのかもしれません。
満足度:★★★★★
2008-05-31








